たけしの忙中閑話

ギター

「六十の手習い」という言葉がある。昨年、還暦の誕生日を迎えたのを機に、思い切って以前から興味のあったギターを始めることにした。

これまで、見よう見まねでハーモニカを吹いてみたり、ドラムを叩いたりしてみたことはあったのだが、何かひとつは歌を唄いながら奏でられる楽器を覚えたいと以前から願っていたのだ。「今やらなければ、一生、楽器には縁がないだろう。が、今更、ピアノというわけにもいくまい。そうだ。持ち運びができたほうがいい」というわけで、思案の結果、「ギター」に決めた。

「思い立ったが吉日」とばかりに早速、楽器屋に行ったのはいいが、それまで持ったことも弾いたこともないのだからして、ギターの好みもなければ、良し悪しもわからない。「初めて弾かれるんですよねぇ・・・じゃ、こんなところですかね」と言って店員が薦めてくれたものを手にして持ち帰り、早速、ケースから取り出してはみたものの、まずは「調弦」の仕方からしてよくわからない。一緒に購入してきたチューニングキットの説明書を読みながら、苦心惨憺して、やっとのことで調弦ができた。

「はて、これからどうやって練習したものか・・」としばし思案に暮れたが、そこでふと思いついたのが「ネット」だ。今時、ネットにはありとあらゆる種類の情報が満載されている。本当は教室に通ったほうがいいに決まってるが、なかなかそんな時間も取れそうにない。ここは、なんとか「独学」でいくしかない。そう思い立って早速にパソコンを開いてみると、これが思った通り。初心者用のギターの弾き方が解説されたビデオがどんどんと出てくる。「よし、これだ!」と早速に練習に取り掛かった。

まずはコードの押さえ方からだ。初めての者にはこれがなかなか難しい。綺麗に音が出てくれないのだ。繰り返すうちに次第に弦を押さえる指の先が痛くなってくる。この調子ではいったいいつになったら曲など弾けるようになるのか。。。だんだん途方に暮れてくるが、「なんの、まだ始めたばかりじゃないか。こんなところで音を上げてどうする!」と自分を励ましながらの日々が始まった。それからというもの、就寝前にたとえ短時間でも必ずギターに触るように心がけ、それがかれこれ4か月ばかり続いてきた。

その甲斐あって、最近では使用コードが少ない簡単な曲なら、二、三曲ほどなんとか弾けるようになってきた(と自分では思い込んでいる)。となると、音楽というものは素晴らしいもので、俄然、楽しくなってくる。「よし!」とばかりに今度は歌を合わせてみようと試みるが、少ないコードをやっとのことで押さえられる程度の技量では簡単に「弾き語り」などできやしない、と思い知らされた。

実は、ギターを購入した際に「あの曲もやりたい、この曲も歌ってみたい」と沢山、楽譜も買ってきていたのだ。「まずは、拓郎、泉谷だな。そして、郷土の先輩に敬意を表してやっぱり、かぐや姫は押さえておかなければ。。うん、陽水もいいし、アリスもいいなぁ。。待てよ、、ゆくゆくはクラプトン先生だな、やっぱし。。フフフ」などと妄想を膨らませていたのだが、この調子ではとてもとてもそれどころではない。

そうだ。最初から高望みをしてはいけない。ここは、できるだけコード進行が簡単な曲をいくつか課題曲として絞り込み、楽譜や歌詞など見ずに自然と指が動くようにならなければ、到底、「弾き語り」などはできるはずもない、と思い定めて練習することにした。そんなわけで、目下、毎日同じ曲ばかりを繰り返し繰り返し練習している。

音楽というものは、聴くだけで実に人の心を癒してくれる。自分で演奏できれば、なおさらのことだろう。時にテレビで「オヤジバンド大会」をやってるのを目にすると「ほんとに楽しそうだなぁ」とうらやましくて仕方がない。「気の置けない仲間とともに音楽を奏でるって、なんて素敵なことなんだろう」、としみじみ思うのだ。

そのうち、そこそこギターが弾けるようになると、今度はきっと仲間が欲しくなるんだろう。ベースもドラムも入れて欲しくなっていくに違いない。はたまた、エレキにも挑戦したくなってくるかもしれない。。。そんな時間があるはずもないと思いながらも夢だけはどんどんと膨らんでいく。まぁ、そうやって夢に遊ぶ時間を持てるようになっただけでもギターを始めた甲斐があったということか。。

今から言い訳をするつもりは決してないが、正直、上手くならなくていい。疲れて帰ってきてギターを手にしたとき、ふっと心が解放されればそれでいい。そんな時に青春時代に心弾ませた歌の一曲でも下手なギターに合わせて歌うことができれば、もっといい。。そんな思いで「六十の手習い」をボチボチと続行していきたいと思っている。

まずは一年続けてみまする。「習うより慣れよ」と言うではないか。そのうち、「岩屋たけしオンステージ」の案内が届くかもしれませぬぞ(笑)。お楽しみに^^。

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