岩屋たけしのメッセージ

平成28年09月15日
「民進党代表選に思うこと」

012547.jpg

さきほど、青山斎場での故加藤紘一先生の自民党・加藤家合同葬に参列してまいりました。会場には自民党はもとより、超党派のこれまでにないほどの数多くの国会議員が参列しておりましたが、まさに「人の値打ちは棺を覆いて定まる」との観がいたしました。あらためて加藤紘一先生の長年の多大なご功績に心より敬意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げたいと存じます。

加藤先生は私の地元に応援にこられるたびに当事務所の随行の者に「どこか、うまいラーメン屋に連れてってくれ」と所望されておられました。随行の者はそのたびに驚いて「え、ラーメン屋でいいんですか?」と聞き返したそうですが、「ラーメン屋がいいんだ。たまたま一緒になった地元の人とも話せるし、そうすれば土地の人情がわかるだろう」と答えておられたそうです。

二世議員であり、東大、外務省を経て若くして政界に進出された加藤先生は当初から「政界のプリンス」と呼ばれ、将来、総理大臣になることが確実視されていた、いわばエリート議員でしたが、その一方で、そのように人情細やかで大変気さくな一面も持っておられました。本日のご葬儀にはまさにそうした加藤先生のお人柄が反映されていたと思います。重ねて、先生の御霊の安らかならんことをお祈りする次第です。

さて、民進党の新しい代表に蓮舫氏が選ばれました。テレビでその模様を拝見しておりましたが、なかなかに立派な代表選をおこなわれたのではないかと思います。国会議員だけではなく、国政選挙出馬予定者、さらには地方議員の方々にも投票権を与える方式は、党内の声を満遍なく反映させるという意味でわが方にも大いに参考になるものではないかと感じた次第です。

誤解を避けるために申し上げておきますが、私は決して現在の民進党を評価しているわけではありません。先の参議院選挙での共産党を含む野党共闘というあり方についても、政策抜きの選挙のための野合だと言わざるを得ず、そうした姿のままであっては、到底、政権を委ねられる勢力とは見做せないと考えています。

しかし、その一方で、政権を担い得る勢力が常に存在し、緊張感あふれる政治が実現することが必要だとも考えます。そのことによって政権与党には常にベストパフォーマンスが求められ、結果として国民にとってより良き政治が実現すると考えてきたからです。そういう意味で、今後の民進党の健全な発展に期待したいと思っています。

最初の衆議院選挙の際に加藤先生にさんざんお世話になった私が先生と袂を分かつきっかけとなったのが、「政治改革」でした。私は、当時の中選挙区制度のもとで自民党が派閥や族に分かれて攻防し、党内での疑似政権交代を繰り返すという政治体制のままでは、新しい時代の要請に答えることはできないと考えていました。そこで、まずはそうした政治構造を生み出す原因となっている選挙制度を小選挙区を中心とするものに変え、「政権交代の緊張感のある政治」にすべきだと強く決意したのでした。

一方、加藤先生らベテラン議員の大半は中選挙区制の維持を前提とした首相公選制の導入などを唱えておられました。その両派の対立は日に日に深まっていき、最終的には自民党分裂という事態を引き起こすに至ったのです。その際に、私はお世話になった宏池会(当時の宮澤派)を離脱し、同時に自民党からも離党するという決断をしたのでした。

その結果、細川連立政権が誕生し、そのもとで選挙制度改革含む政治改革法案が成立し、今日の「小選挙区比例代表並立制」という選挙制度が実現いたしました。私はその選挙で落選し、残念ながらその現場に立ち会うことはできませんでしたが、地元のテレビの前で、悔しさを噛みしめながらも拍手喝さいしたことを今でも鮮明に覚えております。

その後、政界再編も進み、二回の本格的な政権交代が起こりました。最初の民主党政権は失礼を承知で申し上げれば「失敗」と言わざるを得ず、だからこそ我々は政権を取り戻すことができたのでした。しかし、これらの経験を通じて国民の間にも「投票によって政権を変えることができる」という認識が定着したものと思います。「万年与党、万年野党」の時代は終わったのです。また、統一された公約を掲げて選挙戦を戦うことによって、選挙後の政権の政策推進能力も飛躍的に高まったものと私は考えます。

今日の民進党代表戦の模様を拝見していても、以前の選挙制度のままであったならば、おそらくは今頃、自民党の派閥のどこかに属していたであろうと思われる議員さんたちのお顔が多く見られました。既に総理や大臣等の住職を経験された方々も多くいらっしゃいます。その彼らと与野党に分かれて争い合うことは、ある意味で切ないことでもありますが、敬意を表するに値する人たちと政策を堂々と競い合うことによって、日本の政治がより良きものになっていくのであれば、それこそが政治改革が目指した姿なのだと思います。

ほどなく、秋の臨時国会がスタートいたします。新体制に衣替えした野党第一党の民進党を中心とする野党勢力との厳しく激しい論戦が始まります。国民の評価に耐え得る堂々たる論戦を展開していかなければなりません。「政治を改革し続ける」。その思いを胸に決意も新たに「秋の陣」に臨んでまいりたいと思っているところです。