岩屋たけしのメッセージ

平成28年10月05日
「憲法改正に関する議論について」

補正予算案が衆議院を通過し、論戦の舞台が参議院へと移っています。衆議院での本会議や予算委員会では野党各党から憲法改正についての議論が多く持ち出されました。

とりわけ、民進党さんからは「自民党の憲法改正草案を撤回しろ!」との主張が野田幹事長はじめ、多くの同党所属議員から出されたところです。しかし、これは甚だ見当違いの要求なのではないかと私は思います。

私たちは野党時代に、谷垣総裁のもとに議論を積み重ねて憲法改正草案をつくりました。ご承知のように、自民党は今から60年前の結党の段階から「自主憲法制定」を党是に掲げてきましたが、この間、特定の政治家による「私案」のような改正草案は存在したものの、党としての統一的な考え方をまとめてはいなかったのです。そこで、野党に転落したことを機にじっくりと議論を重ね、初めて「草案」を作るに至ったのでした。

今後、私たちが憲法改正を論じていくにあたっての基本的な考え方がそこに盛られているということなのであって、なにもその草案そのままに憲法改正を発議しようとしているわけでは毛頭ありません。自民党の考え方の土台というか、ベースとなる内容がそこに盛り込まれているというに過ぎないのです。それを「撤回しろ!」「棚上げにしろ!」というのはおよそ無理、と言うのか、敢えて申し上げれば、おこがましい注文なのではないでしょうか。

安倍総理も再三、答弁されていたように、憲法改正を発議するのは政府ではなくて、あくまでも国会です。しかも、衆参ともに三分の二を超える議員の賛同が得られる内容でなければ、発議には至りません。安倍総理が「自民党案がそのまま発議されるとは思っていない」と言っているのは、批判をかわそうとしてそう言っているのではなく、それが現実だからです。第一、連立を組んでいる公明党さんとて、自民党草案にそのまま賛成することなどあり得ないでしょう。

民進党さんはそれでも執拗に安倍総理に対して自民党草案の逐条の内容について質問を試みましたが、総理が正面からそれに答えなかったのは当然です。行政府の長たる内閣総理大臣が立法府で発議されるべき憲法改正の中身について逐一解説するということがあってはならないからです。たしかに安倍総理は自民党の総裁ではありますが、その一線を踏み越えるわけにはいかないのです。そして、だからこそ、衆参の憲法審査会で各党が真摯に議論を交わすことこそが必要なのです。

私自身も野党時代に、草案策定の議論に参画しましたが、正直、すべての内容について納得しているわけではありません。野党時代に作った草案であるだけに、保守政党としてのスタンスを再確認しようとするあまり、いささか前のめった点もなくはなかったと思っています。したがって、そこは大いにこれからの議論を通じて揉んでいただき、必要とあらばモデレートしていただければいいのだと思っています。

野党の皆さんも、「一字一句変えてはならぬ」という主張でない限りは、ぜひともそれぞれの草案を示していただき、憲法審査会での議論に真摯に臨んでいただきたいと思います。それをせずに「安倍政権のもとでの改憲は許さない!」などという、およそ理屈にもならない理屈を述べておられるようでは、国政を担う政党としての責任を放棄していると言わざるを得ないように思います。

憲法改正については、あくまでも政局を離れ、真摯で丁寧な議論を進めていくべきだと思っているところです。