岩屋たけしのメッセージ

平成28年03月04日
「軽減税率について」

参議院での予算審議も順調に進んでいるようです。衆議院段階では、さまざまなできごとが起こり、時に本題から離れた質疑がおこなわれた向きもありましたが、「良識の府」たる参議院においては、ぜひとも堂々たる論戦を聞かせてもらいたいものだと思っています。

衆議院での議論の際にも「軽減税率」を巡って活発な質疑が交わされました。社共は増税そのものに反対。民主・維新連合は「軽減税率よりも給付付き税額控除を」をという主張だったと思います。この相違も来る国政選挙における争点のひとつになっていくでしょうから、この点について、私の考えを申し上げておきたいと思います。

そもそも、消費税にはどうしても「逆進性」という問題がつきまといます。所得の低い人ほど負担が重くなる、ということですね。したがって、消費税率を上げていく段階では、その負担感を軽減させるための措置がどうしても必要になります。そこで、かつての「自公民合意」では、その方法として、「軽減税率制度」「総合合算制度(社会保障負担に上限を設ける)」「給付付き税額控除(所得の低い方に一定の給付をおこなう)」の三通りの方法を示し、のちに検討を加えた上で、その中から最適の方法を選択することとしていたのです。

政府与党が最終的に選択したのは「軽減税率」です。そして、酒と外食を除く食料品全般を軽減税率の対象とし、総額で約1兆円の「増税の縮減」をおこなうことといたしました。言うまでもなく、「食べる」ことが最も重要だからです。その際、毎日の消費の際に「負担感」が軽減されることが大事なのであって、「あとから申請があれば給付する」という方法では痛税感の緩和につながらないと考えたからです。

これに対して「給付付き税額控除」というのは、申請に応じてあとから一定額を給付するという方式となります。これでは、実際の買い物のタイミングや購入額と関係なく給付がおこなわれることになり、痛税感の緩和を実感しにくいという難点があります。

所得が低い方の所得を把握することが現段階では困難であるという問題や、所得は少ないけれども多額の金融資産や不動産資産を有している方をどう考えるのかといった「資産把握」の問題もあります。さらに、申請をしてもらわなければ給付をおこなえないことから、これまで確定申告をしてこなかった方々にも申請をしてもらう必要が生じ、これに対応するための行政の執行可能性やコストの問題も発生してくるのです。

ちなみに、既に「給付付き税額控除」を導入している米国や英国においては、給付額の1割から2割程度が「過誤」「不正請求」になっているという実態があり、「支給の適正性の確保」といった点からも問題が多いと言わざるをえません。

それら諸点を総合的に勘案すれば、やはり、消費の現場で買い物のたびに「痛税感の緩和」を実感していただくことができる「軽減税率」による方式がもっとも妥当ではないかと考えます。

民主・維新連合は先に「給付付き税額控除」の法案を国会に提出していますが、それを見る限りにおいては、年収500万円以下の世帯を対象に給付付き税額控除をおこなうとし、その所要額を約3600億円としているということ以外の詳細は明らかではありません。ざっと逆算してみますと、一人当たり年間5000円くらいの給付になるのではないかと思われますが、その5000円を給付してもらうのに申告をしなければならないという方式では、その手続きそのものが新たな負担になるのではないかと思います。

もちろん、「複数税率」を導入することによって、事業者、とりわけ中小の事業者の事務負担が増すことが予想されますので、その点についての対策には最善を期していかなければなりませんが、それを前提に、「軽減税率」を円滑に導入していくことが適切であると考えます。

なお、それらの準備を行った上で、実際に来春から消費税を増税するかどうかは、すぐれて高度な政治判断、政策判断を要する課題ではないかと思っています。我が国の国内事情だけではなく、国際経済情勢なども十分に勘案した上で、最終的な判断がなされることになるでしょう。財政再建と社会保障の充実のためには消費増税は避けて通れません。予定通りに実施が可能となるように、まずは予算を仕上げ、経済対策に全力を挙げていかなければならないと思っているところです。