岩屋たけしのメッセージ

平成29年04月05日
「受動喫煙防止法案に関する論争に関して」

目下、政府が準備している「受動喫煙防止法案」が暗礁に乗り上げている状態です。原因は与党自民党内においても、厚労省案の内容に対する反対の声が強く、なかなか合意に至ることができないからです。

「受動喫煙を防止する」ということに関して意見が分かれているわけでは決してありません。が、その方法論について推進派と慎重派の間にまだ大きな隔たりがあるのです。

私も慎重派の一人ですが、慎重派も「欲せざる受動喫煙は防止すべきだ」との考えに変わりはありません。一方で、「タバコが合法な嗜好品である以上、喫煙者の権利も非喫煙者の権利と同様に尊重されるべきだ」と考えているのです。そして、それがためには、「分煙」を今まで以上に徹底し、世界最先端の「分煙国家」を作り上げるべきだと提案しているところです。

飲食店、料飲店も既に「オリ・パラ」へ向けて分煙環境の整備に取り組んでいます。飲食店では現在でも34%が全面禁煙、33%が分煙となっており、この段階でも67%の店舗が禁煙もしくは分煙となっています。また、オフィスでは46%が屋内禁煙、51%が分煙となっており、自由喫煙がわずかに3%となっていると承知しています。これをさらに進めていくべきだと考えます。

飲食業、料飲業はサービスを業とする民間事業です。したがって、店舗において事業者が多様な環境を提供し、お客様が好みに応じて選択できるようにしておくことが必要だと思います。飲食、料飲はお客様が自分の嗜好に合わせて自由に選択するものであって、他の公共性の高い施設と同次元での規制はふさわしくないと考えるからです。

海外の飲食店はロンドンでもパリでもローマでも屋外のテラスで喫煙が可能ですが、日本では屋外での喫煙場所が確保できないところが多く、その意味でも屋内に「分煙」が可能なエリアが必要です。ちなみに、「路上喫煙禁止条例」は全国で既に226の自治体において、東京23区では22の区において定められており、それによって既に人口の半分以上がカヴァーされている状態にあります。
「オリ・パラを開催するのだからもっと厳しくすべきだ」というご意見もありますが、北京、バンクーバー、ソチ、リオデジャネイロなどの過去の五輪開催都市も競技場での「禁煙」は当然だとしても、屋外では「喫煙可」としていました。

ロンドン五輪では会場内は禁煙であっても、レストラン、カフェ等においてテラス席や入り口付近のスペースにおいて喫煙可能としていたところです。このような分煙を徹底することで良好な環境を保つことは可能だと考えます。

この問題に関しては世論も大きく分れているようですが、去る3月21日のFNNの世論調査によれば、飲食店を原則禁煙とする厚労省案がよいと回答した人は37.6%、これに対し、店舗側が「禁煙」「分煙」「喫煙」を選べるようにすべきだと答えた人が60.3%となっており、世論の動向も「分煙」に理解を示してきていただいているのではないかと感じています。

また、訪日外国人を対象としたJTBの調査によれば、回答者の64%が「日本のタバコ環境は自国よりも良い」と答えており、「喫煙者」では「日本のほうが良い」が80%、「非喫煙者」では61%になっていますので、「日本のタバコ環境が世界最悪の状態にある」という、よく聞かれる意見は、いささか誇張が過ぎているようにも思います。

ちなみに、タバコは貴重な財政物資でもあります。タバコ一箱の税率は消費税も含めると約63%(440円中の275円)で、年間で約2兆円の税収があり(酒税は1.35兆円)、そのうち半分は地方の収入となりますが、都道府県に1500億円、市町村には9200億円が配分されています。また、平成10年に創設された「タバコ特別税」によって年間約1500億円が向こう40年間にわたって、旧国鉄の債務処理に充当されることとなっています。

我が国での喫煙率は年々低下してきておりますが、現在でも成人国民の五人に一人が喫煙者です。「喫煙を楽しむ」ことと、「受動喫煙を受けたくない」ことは、ともに国民の権利として尊重されるべきではないかと思量しているところです。