岩屋たけしのメッセージ

平成28年10月18日
「憲法改正議論の今後について」

自民党の憲法改正推進本部(保岡興治本部長)が開催されました。冒頭、保岡本部長からご挨拶があり、「憲法改正についてはこれまでの衆参の憲法審査会での基本方針を踏襲し、政局を離れた議論をおこなうことに努めることや、少数会派にも平等に意見表明の機会を与え、幅広い合意形成を目指すことを大切にしたい」とのお話がありました。まったく同感であり、大いに賛同するところです。

「その際、これまで自民党が作った平成17年の草案、そして、平成24年の草案は自民党の考え方のベースとなるものなので、これを撤回することはしないが、とはいえ、これを前提として各党との議論に臨むことはしない」という方針も示されましたが、これまた適切な判断であると私は思います。

席上、私も発言を求め、「推進本部の執行部の考え方、判断は適切であると思う。草案策定の議論には自分も参画したが、特に平成24年の草案は、我々が野党に転落していた時のもので、保守政党としてのアイデンティティーを再構築しようとするあまり、いま、読み返してみると、いささか前のめった面があったようにも感じている。国会の憲法審査会の現場では柔軟に対応してもらって結構ではないか」と申し上げたところです。

どこを「前のめっている」と感じているかについて、ここで逐一、申し上げることはいたしませんが、たとえば、「我が国は『一神教』を文化の背景として持っているわけではないので、人権についての条項はいわゆる『天賦人権説』と目されるような現行憲法の記述を改め、通常の表現にしたほうがいいのではないか」とか、「自衛隊を17年草案では『自衛軍』という記述にしたが、国際社会では『国防軍』と呼ぶのが通常なので、この際はそのように変えたほうがいいのではないか」などといった議論など、それはそれで真摯な意見交換が活発におこなわれ、憲法改正のリアリティーがいまだなかった状況の中で、その議論そのままに草案が取りまとめられるに至ったということだったと記憶しています。

しかし、いまは、まがりなりにも、「憲法改正」を志向する勢力が衆参ともに三分の二を占める状態が出現しているのであって、それがゆえに、これからの議論は、改正条項案のひとつひとつについて極めて繊細な注意と子細な点検が必要であり、また、そうでなければ実際に衆参両院で三分の二のコンセンサスを形成することはできませんし、ひいては、国民の過半の支持を得ることも難しいと考えます。

以前にも申し上げたように、もともと、自民党は自らの草案をそのままに発議しようという考え方は毛頭、持っておりませんし、それができるとも考えてはおりません。これまでの議論の集積である「草案」の考え方をベースにしつつも、これから各党各層のご意見を頂戴しながら柔軟に対応し、より多くの国民の賛同が得られるものに作り上げていかなければならないと考えています。

TPP関連法案などの対決法案もあり、ともすれば荒れていくことが予想される今国会ではありますが、こと憲法改正の議論においては、あくまでも政局を離れた冷静かつ真摯な議論を展開していくべきだと思っているところです。