活動報告

「政治改革議論に思う」

2024.05.30

国会では政治資金規正法改正をめぐる与野党協議が続いています。ルールを厳格化し、違反に対する罰則を強化していくことは当然です。しかし、その上で、私は守らなければならない一線もあると思います。

それは政党や政治家があくまでも国民の自発的な意思、自発的な物心両面の支援によって支えられていなければならないという点です。その余地までも無くしてしまうようなことになれば、将来に禍根を残す恐れがあると危惧しています。

個人はもとよりですが、企業も業界団体も労働組合も国民であり、その国民の声の集合体です。その方々が自発的に物心両面で政党や政治家を支える仕組みがあってこそ、政治が政治としての機能を果たしていけるのだと思います。

問題は、その政治資金の透明性であり、違反があった場合の責任の所在です。今回の事件はルールに問題があったというよりも、ルールを守っていなかったことが問題だったのですが、今後、同種の問題が起きないようにするために厳しいルールに変更していくことは当然です。

しかし、その上で政治家が自らの努力と国民の協力によって活動のための資金を調達できる仕組みは残しておく必要があると思います。そうでなければ、政治家が単に国家や政党のしもべになってしまうばかりでなく、将来、資産家だけが政治に参画できるということにもなりかねません。

政治資金制度は現在活動している政党、政治家ばかりではなく、将来のすべての政党、政治家を縛る制度になります。したがって、決して目前の選挙へ向けての近視眼的な議論にしてはならず、民主主義の将来を見据えた冷静な議論の末に結論を出す必要があると思います。

野党の議員の皆さんもこれまで政治資金パーティーを開催してきておられましたし、つい先日までは開催を予定しておられました。しかし、それは決して批難されるべきことではなく、ルールに沿って適正に行われる限りにおいては、むしろ正当かつ健全な政治活動なのだと思います。

政治家が忠誠を尽くすべきはあくまでも主権者たる国民です。したがって、場合によっては、所属する政党をかなぐり捨て、時の国家権力と対峙することもあるというのが政治の本質です。そうだとするならば、政治家が国民の支援によって自立した活動ができるための手段は残しておかなければならないと私は思います。

一方で、今回のことを契機に、自民党のこれまでの党内統治のやり方は改めるべきでしょう。幹事長一人に政治資金を集中して配らせるというような古いやり方はもはや終わりにすべきだと思います。いわゆる「政策活動費」の大半は選挙支援だと思いますが、それは今後は公開を前提とすべきでしょう。

政治資金パーティー購入に関する公開基準は、より引き下げてしかるべきだと思いますが、政党や政治家を支援してくださる国民の側の政治行動上のプライバシーにも配慮する必要があります。そこは与野党協議の上で適切に定められていってしかるべきだと思います。

いずれにしても、今回の政治不信を招いている責任は自民党にこそあり、それについてはなんら弁明の余地はありません。その上で、変えるべき部分は変え、変えるべきでない部分は堅持するということが民主主義の将来のために必要ではないかと思っているところです。

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