令和5年 新年ご挨拶
明けましておめでとうございます。皆様には健やかに令和五年の初春をお迎えになられたことと存じます。旧年中に賜りましたご厚情に感謝申し上げますとともに、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年はまさに「乱」の一年でありました。今年の干支は兎でもありますので、この一年は「乱」を乗り越え跳躍する「跳」の年にしていかねばならないと思います。この一年のスタートに当たり、本年の私の活動の目標をお示ししたいと思います。
まずは、今なお続くロシアによるウクライナ侵略を終わらせていかなければなりません。そのためには世界の結束が必要です。我が国としても必要な支援を継続するとともに、我が国独自の外交努力を強化していかなければなりません。ロシアの暴挙との戦いは、自由と民主主義、さらには人権を守る戦いでもあります。そのことをしっかりと見据えた取り組みが必要です。
その上で、今年は我が国が直面する「三つの危機」に対してしっかりと対策を講じていく、その「元年」にしていかなかればならないと思います。
第一には「安全保障の危機」です。
昨年末に「国防三文書」が改定されました。この新しい方針の下にこれから我が国の安全保障体制を抜本的に強化していくことになります。その際に大事なことは、我が国のこれまでの平和国家としての姿勢を変えないということです。防衛力の強化はあくまでも「抑止」が目的であり、「専守防衛」の方針には変わりがないということを国の内外に明確に説明していかねばなりません。
防衛力強化の取り組みに関しては何よりも国民の皆様のご理解とご協力が不可欠です。そしてそのためには防衛力の内容、予算額、財源のぞれぞれについて責任ある姿勢を示すことが必要です。まずは財源捻出のために最大限の努力を行うことは当然ですが、その上でどうしても足らざる部分については国民の皆様にもご負担をお願いしていかねばなりません。政府与党には丁寧な説明が求められます。私も防衛大臣経験者としてしっかり汗をかいてまいる決意です。
第二には、「経済停滞の危機」です。
この三十年間、日本経済は停滞を続けています。一人当たりのGDPは世界27位に転落し、すぐ後ろから韓国、台湾が追いついてきています。もちろん、この間、司令塔の立場にあった政府与党の責任は重大です。深刻な反省が必要であることは言うまでもありません。最大の原因は生産性の向上や競争力の強化に対して官民ともに十分な取り組みができていなかったことにあると私は思います。
今や時代は大きく変わりつつあります。DXやGXはもとより、SDGs、ノーマライゼーション、ダイバーシティーなど、新しい時代の要請にしっかりと対応していける技術やサービス、またその元となる先端半導体などの基幹技術を国内に再構築することなしにはこの停滞を抜け出すことはできません。政府は今後十年間で官民合わせて総額150兆円GX投資を行う計画を作りましたが、このような取り組みを力強く進めていきたいと思います。
第三には、「人口減少、少子化の危機」です。
昨年の出生数はついに80万人を切って76万人台になりました。一年間で約64万人の人口が減り続けています。世界の中人一億人を超える国は14カ国しかなく、我が国はいまなお人口大国ではあるものの、この傾向が続けばいきおい国力のさらなる低下は避け難い状況にあります。ここは、これまでとは異次元の子育て支援対策を行なって少子化に本格的に歯止めをかけていかなければなりません。
この四月には「子ども家庭庁」が発足します。政府は既に妊娠、出産一時金の引き上げなどの対策を決めていますが、これに加えて一層の幼児教育支援、児童手当ての拡充や教育無償化、育休制度の拡充、ひとり親家庭対策、子どもの貧困対策など、「家庭庁」を司令塔に国をあげて「子どもど真ん中」の政策を実行していくことが必要です。
加えて、外国人にもっと開かれた国になっていくことも必要だと思います。法務省は昨年から現行の「研修生制度」の改訂を検討する有識者会議を発足させました。志ある有為の外国人材をもっと幅広く適切に受け入れる体制を構築していくことが必要です。「世界に選ばれる日本」を目標に私もこの改革に積極的に取り組んでまいりたい思います。
そして、「観光立国」の再構築です。人口減少が避けられない傾向であるとするならば、「交流人口」、「関係人口」を増やしていかなければなりません。観光は、国のみなら地方にとってもその切り札となっていく可能性を秘めた成長産業です。コロナのダメージを回復したあとは、日本の観光を次のステージに引き上げていく。そのことを目標に全力を尽くしていきたいと思っています。
以上が今年の私の大きな政策目標です。これに加えて、年来の地元の課題にもしっかりと取り組んでまいります。皆様の引き続いてのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。この一年の皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈りしております。
令和5年1月1日
衆議院議員 岩屋 毅