「外務大臣退任に際して」
先刻の閣議で石破内閣は総辞職し、私も外務大臣の任を解かれることとなりました。
386日。重積を担わせていただいたこの一年余りの日々は、振り返れば決して平坦な道のりではなく、時に極めて難しい判断や決断を迫られた局面もありました。
しかし、いつの時も皆様の温かいお励ましに支えられ、最後の一瞬まで全力を尽くすことができました。この間、皆様から賜りましたご厚情とご声援に心より感謝申し上げます。
世界は分断と対立に向かいつつあります。しかし、だからこそ日本外交の出番があり、役割がある。私は一貫してそのように訴え、「対話と協調」を旨に懸命の外交活動を展開してまいりました。
この一年間の海外出張は17回に及び、その移動距離は地球9.2周分に相当します。この間、359回の対面の会談、そして55回の電話会談を行い、世界の国々や機関と粘り強く、そして、丁寧に対話を重ねてまいりました。
一日も早い平和の回復と世界秩序の再構築のために、新政権においても、日本ならではの「対話と協調の外交」をさらに進化させ、発展させていってもらいたいと願っています。また、私自身も一議員としてその努力を続けていく所存です。
外務大臣在任中は、なかなか地元に帰れませず、ご無沙汰が続いておりますことを大変申し訳なく思っておりますが、今後は再び皆様と親しくお目にかかれる機会が増えることを今から楽しみにしております。
私の挑戦はこれからも続きます。今回の経験の上にさらに精進を重ね、日本国とふるさとの発展のために、そして、日本政治の再構築のためにいよいよ力を尽くしいきたいと決意しています。今後とも変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第です。
結びに、皆様の益々のご健勝とご活躍、そして、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。
誠にありがとうございました。
平成7年10月21日
前外務大臣
衆議院議員
岩屋 毅拝