「オリンピック終了に思う」
オリンピックが終了しました。正直、開会式と同様に少々散漫な内容の閉会式だと感じはしたものの、それよりも何よりも、この17日間のアスリート達の熱闘の余韻こそが閉会式の最高の出し物だと思って見ておりました。
日本選手団は過去最高数のメダルを獲得してくれました。ホームの利点もあったでしょうが、この5年間の弛まざる努力の賜物だったと思います。コロナ禍の中で硬直していた私たちの心を揺り動かし、感動と勇気を与えてくれた選手の皆さんに心より感謝したいと思います。
同様に、世界の各地からこの真夏の日本の地に集結し、それぞれの母国の名誉を背負って熱闘を繰り広げた各国の選手団の皆様にも心より敬意を表し、御礼申し上げたいと思います。
「おもてなし」を標榜した今大会ではありましたが、数々の制約の中で、果たしてその思いが十分に伝えられたかどうか、大いに気になるところです。願わくば日本に良い印象を持って帰っていただきたいと祈っているところです。
数多くの大会関係者ならびにボランティアの皆さんにも感謝申し上げたいと思います。大会直前まで運営方法の詳細が決定しないという異例の展開となりましたが、にもかかわらず、各種競技を滞りなく完遂されたご尽力に対し、心より称賛の拍手を贈りたいと存じます。
それにしても、アスリート達の弁は何故にこのように人の心を打つのだろうと、今回の大会を通じてあらためて感じ入った次第でした。
最高の身体的パフォーマンスを実現するためには、人間の全知全能を要します。何よりも困難に立ち向かい、緊張に打ち勝つための強い精神力が要る。そして、長く辛い準備の時を要します。さらに、それぞれが多くの人達の期待を背負い、重圧に耐えてきている。
闘いの本質は、決して他者とのそれではなく、つまるところは自身とのものでありましょう。それならば、誰とて心得のあるところです。が、その中にあっても世界の頂点を目指さんとするアスリート達は誰しもがその闘いを極めてきている。
勝敗が決した瞬間に発せられる彼ら彼女らの言葉は、それがゆえに、たとえそれが勝者としての弁であれ、敗者としての弁であれ、聞く人の心を震わせてやまないのでしょう。
オリンピック開催の是非については様々な議論があり、それは終わった後でもあるに違いないし、あればあったでよい。しかし、スポーツの力、アスリート達の力が人々の心を揺り動かしたという事実に関しては議論の余地はない。そう思います。
オリンピアン達が残してくれた感動と教訓を胸に刻み、来るパラリンピックの開幕を心待ちにしたいと思っています。