「日本国際貿易促進協会 会長就任挨拶」
ただいま、皆様のご推挙をいただき、日本国際貿易促進協会の第八代会長に就任することとなりました、岩屋毅でございます。
身に余る光栄でありますと同時に、七十年を超える歴史と伝統を有する本協会の会長という重責に、身の引き締まる思いがいたしております。
微力ではありますが、本協会のさらなる発展のために、誠心誠意を尽くしてまいる所存でございますので、皆様方の今後のご指導とご協力を、心よりお願い申し上げます。
会長就任に当たり、まず、先に御逝去なされた第七代会長・河野洋平先生の御霊に対し、皆様とともに、あらためて心からの哀悼の意を表したいと思います。
河野先生は、長年にわたり本協会の先頭に立ち、日中両国の貿易・経済交流の促進はもとより、両国の相互理解と友好関係の発展に、誠に大きな足跡を残されました。その多大なるご功績に対し、深甚なる敬意と感謝の誠を捧げたいと思います。
私自身、政界において長らく河野先生のご指導をいただいてまいりました。先生が政界を退かれた後も、折に触れてお声をかけていただき、公私にわたって、さまざまなにご教示をいただいてきたところであります。
それだけに、このたびの先生のご逝去は、残念で残念でなりません。
今日の内外情勢を考えます時、我が国は、まことにもって大切な方を失ったとの思いを禁じ得ません。まさしく、「巨星墜つ」との感を深くしているところでございます。
河野先生からは、ご生前、何度か本協会についてのお話をいただきました。しかし、私自身、その責任の重さを考え、これまでご遠慮申し上げてきたのでした。
しかしながら、ご病床にあってなお、訪中への強い意欲を持ち続け、日中関係の将来を最後まで案じておられた先生のお気持ちを思います時、この上は、自らの非力を顧みることなく、先生のご遺志を受け継ぎ、本協会のために力を尽くすべきであると決意した次第でございます。
日本国際貿易促進協会は、昭和二十九年の創立以来、七十年以上にわたり、日中両国間の貿易と経済交流の促進に大きな役割を果たしてこられました。
それは単なる経済活動にとどまるものではありません。
国交が正常化される以前から、民間の立場で両国を結び、相互理解と信頼の礎を築いてこられた。その長年のご努力が、今日の日中関係を支える貴重な財産となっていると思います。
歴代会長をはじめ、役員、会員企業、事務局、そして関係者の皆様の長きにわたるご尽力に、心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。
国際情勢が大きく揺れ動き、日中関係もさまざまな困難に直面している今だからこそ、本協会が果たすべき役割は、むしろ一層大きくなっていると存じます。
私は昨年まで、外務大臣として、日中間に横たわるさまざまな懸案に向き合ってまいりました。
両国の間には、今なお、容易には解決できない多くの課題が存在しています。だからこそ、対話を絶やすことなく、一つ一つの懸案を着実に解決し、協力できる分野を一つ一つ増やしていくことが重要です。
私はそれこそが、「戦略的互恵関係」の本来の姿であると考え、外交に取り組んでまいりました。
政治的、外交的に困難な時期であっても、日中両国が経済的に極めて深く結びついているという現実に変わりはありません。
中国は、引き続き我が国にとって最大の貿易相手国であり、現在も、およそ三万に及ぶ日本企業の拠点が中国各地で事業活動を展開しています。両国経済は、サプライチェーンや人的交流を含め、切り離すことのできない、相互依存の関係にあります。
もちろん、経済交流を進めるに当たっては、会員企業が安心して活動できる、透明で予見可能なビジネス環境を整えていくことが不可欠です。率直に意見を交わし、改善すべき点については改善を求めていく。そのことも、本協会に期待される重要な役割であると思います。
経済交流は、単に物や資金を行き来させるだけのものではありません。企業と企業、人と人との間に信頼を築き、その信頼の積み重ねによって、国と国との関係を下支えする営みでもあります。
日中両国間の強固な経済協力関係を維持し、さらに発展させていくことは、両国関係全体の安定と改善、さらには東アジアの平和と繁栄にもつながっていくものと確信しております。
そして、まさにそのためにこそ、日本国際貿易促進協会が存在しているのだと思います。
河野先生をはじめ、諸先輩方が築いてこられた歴史を大切に受け継ぎながら、新しい時代の日中経済交流を切り拓くため、全力を尽くしてまいる決意でございます。
重ねて、皆様方のご支援とご協力を心からお願い申し上げ、会長就任に当たってのご挨拶とさせていただきます。
本日は、誠にありがとうございました。
(臨時総会でのあいさつ)