「食料品消費税の減税について」
高市総理が昨日の記者会見で食料品消費税の減税方針を打ち出し、目下、自民党内でその是非をめぐって激しい議論が続いています。
物価高に苦しむ国民の負担を軽減することは、目下の政治の最優先課題の一つであり、その趣旨や目的は理解いたします。
しかし、財源が不明確なままに、社会保障の基幹財源である消費税を引き下げることには、賛同し難いものがあります。理由は以下の通りです。
1・ 消費税収の約4割が地方の財源となっており、これを補塡できなければ、医療、介護、子育て、教育など、住民に身近な行政サービスに支障が生じることになります。
2・ また、税率を8%から1%に引き下げたとしても、原材料費、人件費、物流費の上昇が続いている中、減税分がそのまま店頭価格に反映される保証はありません。
3・ 一方で、事業者は、レジや会計システム、価格表示などを変更しなければならず、しかも、二年後には再び同じ作業を迫られることになり、事業者の負担が大き過ぎます。
4・ 二年後に税率を元に戻す際には「大増税」となり、政治的なハードルは極めて高くなります。また、経済状況によっては上げたくとも上げられないこともあり得ます。そうなれば、事実上の恒久減税になりかねません。
5・ 今後、社会保障費の自然増、成長戦略のための政府投資、防衛力の強化、災害(熊本地震)対策など、多額の出費が予定されており、これを既存の財源で賄えなければ、増税するか、行政サービスを削減するか、さもなくば国債を増発するしかなくなります。
6・ イラン情勢の混迷が続く中、財源の裏付けを欠いた減税と歳出拡大が重なれば、財政に対する市場の信認を損ない、金利上昇や円安を加速させる恐れがあります。そうなれば、「物価高対策がさらなる物価高を招く」ことにもなりかねません。
7・ 対案としては、現下の税収増を活用して、まずは中低所得者や子育て世帯など、物価高の影響を強く受けている人々に、迅速で重点的な給付を行うべきだと考えます。そして、その間に、「給付つき税額控除」の制度設計を本格的におこなうべきでしょう。
8・ 本当に支援を必要としている人に、早く確実に届く対策を講じることのほうが、国民生活を守る上でも、財政の持続可能性を確保する上でも、より責任ある政策ではないかと考えています。