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年頭所感

2021.01.01

明けましておめでとうございます。皆様には健やかに令和三年の初春をお迎えになられたことと存じます。慎んで新年のお慶びを申し上げます。

 

この年末年始は皆さんも今までとは違った過ごし方をされたのではないかと思います。私も、コロナの感染防止ということもさることながら、昨年七月に亡くなった母の喪中ということもあり、家族だけで静かに新しい年を迎えさせていただきました。

 

この年頭に当たり、今年の国政の主要課題についての所感を申し上げ、新年のご挨拶に代えさせていただきたいと存じます。

 

【コロナ克服のために全力を尽くします】

 

昨年は誠に残念なことに、「コロナに始まり、コロナに終わった」と申し上げざるを得ない一年だったと思います。この段階で世界の感染者数は約8200万人、死亡者は約180万人に及んでいます。国内の感染者数も約23万人、死亡者は約3200人に達しており、まさに世界中がコロナ禍に喘いだ一年だったと言っていいでしょう。

 

しかし、朝の来ない夜はありません。今年はなんとしても、このコロナ禍を克服し、「元通りの日常」、「Without コロナ」の日常を取り戻していく年にしていかなければならないと、年頭に当たり、決意を新たにしています。

 

政府与党は昨年の暮れに、令和二年度の第三次補正予算案、そして令和三年度の本予算案をとりまとめました。言うまでもなくその二つに共通する最重点事項は「コロナ対策」です。

 

この中には全国民に対するワクチン接種のための予算や、医療機関、医療従事者に対する支援策など、あらゆるコロナ対策のための予算が含まれており、さらに今後生じるあらゆる事態に対処できるように5兆円の予備費が積まれています。

 

来る通常国会では、一日も早くこれらの予算を成立させ、コロナ克服のための対策に万全を期してまいります。

 

【「感染防止と経済の両立」を目指し、日本を前に動かします】

 

Go to キャンペーンは折からの感染の拡大を受け、この年末年始にかけて一時的に停止されました。感染拡大の原因はGo to キャンペーンだけではないものの、急激な感染の拡大状況を受け、最も人の移動が多くなる年末年始の時期にキャンペーンを停止をしたことは正しい判断であったと思います。

 

しかし、一方で関係業界への影響は極めて甚大です。G o to キャンペーンの停止とともに年末年始の予約のキャンセルが相次ぎ、ホテル・旅館はもとより、関連する事業者、交通機関、飲食業、料飲業、文化芸術エンターテイメント活動に携わる皆さんは大変に厳しい新年を迎えることとなりました。

 

もちろん、これからも感染の予防・防止が最優先事項であることは当然です。しかし、経済活動が滞ってしまえば今度はそのことが原因で人々の生活が脅かされることになります。大変に難しい舵取りではありますが、安全で有効なワクチンが行き渡るまでの間は、感染状況を注視しながら、アクセルとブレーキを交互に踏み分け、「感染防止と経済の両立」をはかっていかなければなりません。

 

感染の予防・防止・治療に万全を期した上で、早期のGo to キャンペーンの再開をはじめ、コロナ禍で痛んだ経済の再生に全力を尽くし、日本を前に動かしてまいります。

 

【デジタル化、温暖化防止対策に大きく一歩を踏み出します】

 

今回のコロナ禍を通じて明らかになったことのひとつに、我が国の「デジタル化の遅れ」があります。昨年、全国民に10万円の「特別給付金」を支給するという事業を実施しましたが、その際、そのための行政経費に1500億円を費やすこととなってしまいました。

 

当時、「果たして高額所得者を含む全国民に支給する必要があったのか」というご意見も多く聞かれましたが、デジタル化が大きく遅れていることが原因で、対策をピンポイントで必要な人だけに迅速に実施することができなかったのです。

 

そこで菅政権は今年中に「デジタル庁」を発足させる決意をしました。目下、担当の平井卓也大臣の下で着々とその準備が進められています。これまでの霞ヶ関の省庁とは違い、民間活力を最大限に導入した新組織が構想されています。来る通常国会ではこの「デジタル庁」発足のための法案を着実に成立させ、国民にとってより便利で使いやすい効率的な行政システムを構築してまいりたいと思います。

 

もうひとつ、菅政権が大きく一歩を踏み出した課題に「温暖化防止対策」があります。菅総理は国会での所信演説で「2050年までにカーボン・ニュートラルを目指す」ことを宣言しました。「カーボン・ニュートラル」とは「何かを生産したり、活動をおこなった際に排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素を同じ量にする」という目標です。すなわち、2050年までに我が国の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするということです。

 

決して容易な目標ではありませんが、世界に向かってその宣言をした以上は、その達成に向かって今すぐにでも行動を開始する必要があります。それがためには、自動車はもとより、あらゆる物が作り変えられていかねばなりません。極めて多岐に亘る技術革新が必要となりますが、その最新技術が次の時代の日本経済を大きく支えていくことにもなります。

 

以上、二つの課題はそれぞれ国民の皆さんのご理解とご支援がなければ決して前に進めていくことはできません。ぜひとも皆さんのご理解とご協力をいただきたいと願っています。

 

【子育て支援を充実させ、多様性を認め合う社会を目指します】

 

少子化になかなか歯止めがかかりません。一年間に生まれる子どもの数は「団塊の世代」の頃(約260万人)に比べると約三分の一(約86万人)になってしまいました。この流れを喰いとめるためには、あらゆる角度からの総合的な対策が必要です。

 

まず、出産一時金を増額し(約50万円)、不妊治療については補助額を増額するとともに、来年からは保険適用することとします。教育費の負担軽減も必要です。各段階での教育の無償化あるいは学費負担の軽減を進めてまいります。

 

あらゆる分野における女性の社会進出を進めるためには、女性が仕事をすることと、家庭を持ち、出産し子育てをすることが両立できる環境を整備することが必要です。男女ともに「育児休暇」を気兼ねなく取得することができるようにするとともに、今回のコロナ禍の渦中において知見を獲得することができた「リモートワーク」について、一層の拡充を目指します。

 

また、結婚を望む一人でも多くの方がその希望を実現できるようにすることも大切です。「選択的夫婦別姓制度」については、党内あるいは各党間で丁寧な議論を積み重ね、適切にこの制度を導入できるように努力してまいります。

 

【厳しい国際情勢の中で日本の安全と平和を守り抜きます】

 

この一月中に米国ではバイデン政権が発足する予定です。「アメリカ・ファースト」を唱え、国際的な枠組みからことごとく離脱を重ねてきたトランプ政権から、「国際連帯重視、同盟重視」を標榜するバイデン政権に変わることについては率直に歓迎したいと私は思っています。

 

しかし、いまなお「コロナ禍」に喘ぎ、米中の対立によってともすれば「分断」と「対立」へ向かいつつある世界を、もう一度、「協調」と「連帯」へと引き戻すためには、極めて多くのエネルギーと努力が必要とされます。米国の同盟国であり、中国の隣人である我が国として、我が国でなければ成し得ない貢献を成していかなければなりません。

 

我が国はその中国との間にも尖閣諸島などをめぐって緊張関係を抱えています。北朝鮮の核・ミサイルの脅威は消え去っておらず、拉致問題も解決していません。韓国との間では歴史問題をめぐっていまなお様々な摩擦が生じており、ロシアとの北方領土交渉には進展が見られません。

 

これから、我が国は外交上も防衛上も、これまでになかったような複雑かつ困難な課題に直面することになります。しかし、この厳しい国際環境の中にあっても、国の平和と国民の安全な暮らしを断固、守り抜いていかなければなりません。

 

「したたかで粘り強い外交努力」と「着実で隙のない防衛努力」の双方が必要です。そして我が国の外交努力と防衛努力は我が国のみならず、「インド太平洋」という広範な地域全体の平和と安定に貢献するものでなければなりません。

 

私は防衛大臣、外務副大臣としてのこれまでの経験をもとに、この目的の達成のために持てる力のすべてを注いでまいる決意です。

 

以上、今年の国政の主要課題についての所見を申し上げました。政治の課題はまさに森羅万象に及んでおり、言い尽くせないことが多々ありますが、今年も皆様のご支援とご声援を支えに、日本とふるさとの前進のために、全身全霊を尽くしてまいる覚悟です。引き続いてのご指導、ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

 

皆様のこの一年のご健康とご多幸を心よりお祈りしております。

 

令和三年 元旦

元防衛大臣

衆議院議員 岩屋 毅

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