「中東情勢に関して」
中東情勢が緊迫しています。米国・イスラエルのイラン攻撃によって、最高指導者たるハメネイ師が死亡したとされ、イランによる報復が中東各地域に広がっています。報復の連鎖によって戦禍がさらに拡大することが懸念されています。
米国とイランの対話が続いていたにもかかわらず、交渉途中に突如、このような展開となったことは甚だ残念でなりません。仲介に当たっていたオマーンの立場もないでしょう。誠に憂慮すべき事態であり、我が国はもとより、国際社会全体の対応が問われています。
政府、とりわけ外交当局は、情勢を冷静に分析し、国益を踏まえた上で、細心の注意を払って発信に努める必要があります。軽率な発信は厳に慎まなければなりませんし、これまでの我が国の主張と齟齬をきたす発信も控えなければなりません。
大事なことは、事態を冷静に把握することです。今般の事案がどのような結果を招くかについては現段階では予測不可能です。むろん、米国やイスラエルの行為に国際法上の疑義があることは否めないでしょう。が、それは今、論じてみても仕方がない。性急に評価を下すことは避けるべきだと思います。
次に大切なことは、我が国のこれまでの主張や外交姿勢から決して逸脱してはならないということです。我が国はこれまで一貫して国際法の遵守を重んじ、NPT体制の下で「核不拡散」を唱えてきています。この姿勢が揺らぐことがあってはなりません。
また、我が国は中東の各国とはこれまで等距離の友好関係を保ってきました。それはイスラエルに対してもイランに対しても然りです。その姿勢を堅持し、事態の沈静化と中東全体の平和と安定のために最大限の外交努力を行っていくべきです。
そして、当面、もっとも重要なことは邦人の安全確保とエネルギーの安定供給の確保です。我が国はエネルギー源のほとんどをこの地域に依存しており、戦火が中東全域に拡大すれば死活的問題が生じることになります。そうなってしまえば物価高対策どころではなくなります。
政府・外交当局の適切な対応を求めるとともに、その努力をしっかりと支えてまいりたいと思います。